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膵臓の超音波検査(US)

そのガッツあるプレーでファンを魅了した星野仙一さんが70歳でお亡くなりになった。人生90年時代と思えば早い旅立ちで、死因は膵臓がんだったらしい。そういえば相撲界の巨星千代の富士膵臓がんでお亡くなりなった。

全国がん(成人病)センター協議会で公表されている主ながんの5年生存率は、胃がん73%、大腸がん75.8%、肺がん43.8%、治療が難しいと思われる肝臓がんさえ34.8%なのにすい臓がんにいたってはわずか9.2%…この数値から、膵臓がんは治療でも生命を救い難いがんであり、膵臓がんはあらゆるがんの中でも生存率が不良であると言われている。

 

先日星野仙一さんの件でテレビのワイドショーでコメンテイターの医師がすい臓がんのお話しをしていた。ポイントは下記の2点。

自覚症状が出現しにくい               ②カラダの深部にある。

などからがんが発生しても症状が出現しにくい。膵臓がんを発見するには超音波検査(US)が一番良いって話していました。(下記の超音波画像は私の膵臓です…)

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たしかに膵臓がんが疑われた時に最初に行う画像検査として超音波検査をまず行います。USは簡便で非侵襲的な検査として,外来診療や検診において非常に有用ですが,腫瘍径の小さい膵がんや膵尾部の病変を描出することは困難です。通常の職場検診でのUSによる膵臓の異常発見率は約1%ですし,膵がんの発見率は約0.06%以下といわれています.

ではなぜ超音波検査では膵臓がんが発見しづらいのでしょうか⁇
超音波検査でも、膵臓は肝臓とは違い非常に見づらい臓器です。膵臓は解剖学的に下記の図のように頭部、体部、尾部に区別されます。

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体部は胃や十二指腸との重なりが少ないため比較的観察しやすい部位になります。しかし、超音波は空気で大きく減衰する(空気を通りにくい)という特性がありますので、膵臓がんの約7割が発生する頭部は胃や十二指腸に囲まれており消化管のガスに視野が妨げられ描出不良になることが度々あります。また尾部に関しては胃のガスでとても見えにくいことが多く、膵臓全体の描出が難しい臓器となっております。日本膵臓学会の調べでは直径2㎝以下の早期段階でがん発見率はわずか4.1%とされています。

 

さらに消化管からのガスの影響だけでなく、患者さんの体格にも影響を受けますので(太っている人は観察しにくい)、比較的観察しやすい体部であっても現場の技師の感覚的ですが10〜20%の人は観察が困難な場合があります。たとえ膵臓の一部が見えなくとも検査が終了となる場合もあり、10〜20%の人はほとんど膵臓自体が描出できてないことになります。

超音波検査では見づらい臓器であるがゆえに、上記のようにコメンテイターのドクターが言っていたように、膵臓がんは自覚症状が出にくいためがんがとても大きくなって手の施しようがない状態で発見されることが多いわけです。

腹部領域の超音波検査は画像検査のファーストチョイスにおいて非常に極めて有用な検査で、多くの病気発見に貢献しています。ただ、こと膵臓に関しては以上のように一筋縄にはいかないというわけです。

 

星野仙一さんのご冥福をお祈りします…